私たちの教室


日之出よみかき教室は、1970年5月、部落解放運動の要求のなか、生まれた被差別部落における識字学級です。

 

この教室は、「せめて自分の名前や住所ぐらい自分で書きたい、子どもが学校からもらってくるたよりや、支部から配ってくる新聞やニュースを読めるようになりたい」(岸キヌエ,「みやらけの子もり唄」,1999)という被差別部落に暮らす女性たちの切実な願いからはじまりました。

 

開設当初はえんぴつの持ち方から学ぶ人もいました。また、文字のよみかきの学習はもちろんですが、生活や仕事のこと、家族や夫とのことを話し合うなど学習は様々でした。なかでも多かったのは、教室を開設するきっかけの一つでもあった子どもの教育に対する不安や悩み、願いなどを話し合うことでした。その後、部落解放全国婦人集会(現・部落解放全国女性集会)における全国各地からの参加者が自らの生い立ちや暮らしについて語る姿を見て、「うちらもあんなふうに書いたり、話したりしたい」と刺激され、教室においても生い立ちや暮らしを綴る活動が広がりました。

 

1990年ごろになると、部落女性として厳しい体験を強いられたことが綴られるようになりました。とくに、子どもの頃に子守奉公に出された、遊郭に身売りされたという作品などは、当時の部落女性のおもい体験を語っています。

 

現在は、日之出地区に暮らす人、障害者、不登校経験がある人、仕事や結婚、あるいは家族を頼って朝鮮半島や中国や台湾、ベトナムから来た人など様々です。学習パートナーも、ここ数年の間で様々な人が参加するようになりました。

 

日々の教室活動は、個々人の学習に加え、教室全体の取り組みとして「えんぴつ作文」を書いたり、文集の輪読をしたり、多文化交流をしています。また、参加者(学習者、学習パートナー)が生い立ちを綴る文集作りも毎年行っています。

 

日之出よみかき教室(木曜日)は、単に文字のよみかきを学ぶだけでなく、学習者・学習パートナー問わず色々な立場の人とともに学ぶことを大切にしています。そして参加する人すべてが自分を取り戻せる場所、人と人とがつながる場所となるようめざしています。

 


過去にAIBOという取り組みに協力したときの映像です。