識字とは


 識字とは 識字の概念については、従来から読み書き能力とほぼ同義とされてきたが、単に文字を操作する力に止まるものではなく、ここで改めて定義しておく必要がある。


 同和地区識字学級の歴史と実践が明らかにしてきたことであるが、「非識字者」を生み出してきた背景には、差別と人権の抑圧があり、多くの識字学級受講生は識字学級に参加することを通して、文字の読み書きを身につけるとともに、自らの社会的立場を自覚し、地区住民としての自立と人権の確立を成し遂げてきた。何よりも識字は人間が人間として自らを解放していく営みである。人間は社会の中に生き役割を果たし、自らと自らの属する社会の発展と幸福を願うものである。識字学習者が読み書き能力を身につけ、社会に参加し、自らを尊敬できる存在として自覚していくとき、識字はその役割を充全に果たしたといえる。したがって、識字とは、社会の主体的な構成員として、その社会自身をより良いものへと作り変えていけるような、一連の知識、資質、技能、態度、能力、これらを身につけて行く取り組みの総体のことである。本指針では、識字を、手話や点字を含め、社会の構成員がその社会に参加していくための基本的な要素であり、人権にかかわる問題として定義する。

「大阪市識字施策推進指針 Ⅱ識字とは」

 

 

だれもが人間として尊重され、

 

だれもがいきいきと暮らし、

 

だれもが楽しく学ぶ、

 

 「大阪市識字施策推進指針」の目指す社会です。現在でも、差別や貧困により、文字の読み書きに不自由している人々や、障害を理由として教育の機会から疎外されてきた人々、韓国・朝鮮人を中心とした在日外国人、中国をはじめとする海外からの帰国者等、文字の読み書きに不自由する人々が存在しています。文字の読み書きに不自由するということは日常生活を送るうえで、たいへんな不便を耐え忍ばねばならないということであり、人間として尊厳に関わる重大な問題です。1990年の国際識字年を契機として設置された大阪市国際識字年推進会議では、この問題の重要性から、全市的な広い視野をもった総合的な取り組みを目指して、本「指針」の制定を行いました。識字施策の推進には、「非識字者」をなくしていく取り組みと、「非識字者」がそのことによって不利益を受けないで、すべての市民が暮らしやすい社会を実現する取り組みの、双方が必要です。また、幅広い市民の方々の協力、ボランタリーな力も重要です。 大阪市としましては、今後とも、本指針に基づき、具体的な識字施策の推進を図り、心豊かな生涯学習社会の実現を目指します。

平成5年10月 大阪市国際識字年推進会議